昔、山原で金持ちの夫婦がなかよく暮らしていました。ある時、スクブ御嶽に住んでいる大将が山原に出かけた時に、
その妻を見て好きになり、
夫のもとから連れ去って行きました。残された夫は悲しさのあまり乞食になり、さまよい歩いていました
ある日、スクブ御嶽の近くの家で物乞いをすると、なんと、そこは自分の妻だった人の家でした。男は、前の妻に、
「悲しんでこうなっているんだよ」
と言うと、前の妻は寒さを防ぐための藁と一緒にそっとお金を入れて持たせてやりました。男はカフン川の所で
暖をとろうと思い、さっきもらった包みの中にお金が入っているともしらないで、火をつけて燃やしてしまいました。
すると、燃えかすの中にお金の形をしたのが残っているので、
「フーンネーラン、カフーン ネーランカフンジャー(果報、幸運もないね私は)」
と嘆いたそうです。そのことから、この川はカフンジャーといい、今でもそう呼ばれています。
沖縄市文化財調査報告書第26集『むかしばなしT』2002年沖縄市教育委員会
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